丹波通信２０１　　　私が貴女の頭脳に？

　その日、私は初めて会うS氏と朝11時にお会いする約束をしていました。
しかし前日は　「生保大学」と言う試験合格の打ち上げで朝３時まで飲んでしまい、（おさえたつもりだったが・・・）当日朝７時に起床した折、少々酒が残っている様な気がしました。　私は今から初めて会うS氏におそるおそるメールを打ちました　「本日11時にお伺い致します。大変申し訳ないんですが、昨夜試験合格の打ち上げが前から予定されており控えたつもりなんですが結局遅く迄おりまして酒くさいと思います。　頭はシャンとしているのですが、すいません。」　S氏「おはようございます、合格おめでとうございます、めでたいですねえ。　頭さえシャンとしていれば大丈夫でしょう（笑）。　では、お待ちしています。」
　　　　S氏のご相談も４件でした。
１， ２ヶ月前に車を買ったが、任意保険にはいっていない。
２， 数年前にこのマンションを買ったがローンの借り換えをした方が良いか？
３， 今の生命保険は、とっても親切な営業ウーマンで、何回も東京から来てもらっているので、しのびないのだが保険の事しかできないという事と、やはり身近で何でも相談できる中嶋さんの様な方を以前から探していた。
４， 去年迄に両親や他の親族が次々に亡くなり、相続が続き、残る親族ともめている。　整理が出来ないし、他にも色々相談もあるので自分の頭脳になって欲しい。
　やはり、いくら前日酒を大量に飲んでいても、今日の仕事がどこかにセーブしていたのでしょう。　私は的確にアドバイスし、休日明けに銀行で９時にお会いする約束をし、その日中にローンの借り換えと、自動車の保険の契約を済ませました。　（もちろんソニー損保です。）　その日は、それで私の時間が精一杯だった為、生命保険の契約は後日・・・という事で。
　結果、週末に生命保険の契約も無事済ませ、残るは相談の中で最も重きをおく　「相続による親族の争い」　の整理に着手しなければいけません。　「相談があるから電話をくれ」　と何回事務所に連絡しても忙しいのか折り返し電話をくれないM弁護士。　「『久々に飲みに行きまひょか〜！』と言っといて下さい」　と事務所の方に伝言するとすぐ連絡がつきました。今日７月１日19：00から新地でM弁護士とお会いします。　（この先生はある不動産会社の顧問弁護士なので不動産に関する事は大変強く、又、私以上に何でもテキパキと出来る凄腕の弁護士です。）　（あたりまえやん・・・と思われるでしょうが、弁護士もさまざまなんですよ〜！）

　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　丹波通信２０２　　　　福知山ゼミ

　読者の皆様の中には　「その後、兄�@はどうしているのだろう？」　と思って下さっている方も何名かはいらっしゃるのではないでしょうか？　実際私がお会いする方では、もう何人もの方に聞いて頂きました。皆さんご心配下さりありがとうございます。実はとても元気な兄�@に戻り、前にも増して元気・元気。

　兄�@をH学園に行かす事に不安を覚えた私は２月の下旬、福知山市の、ある塾をたずねていました。それは新３年生からしかH学園は無いので新２年生になる兄�Aの為に伺ったのです。そこで３時間程先生の説明を聞き、けっこう納得できた私に、最後に言われた先生の言葉が私を動かしました。　「お父さん、では兄�Aは週２回ここに通わせて下さい。うちでしっかり勉強すると、そのうちH学園に行く兄�@をいずれ追い抜きますョ。」　私「へーッ、兄�@は兄�Aより、よっぽど算数はできるし、その兄�@に算数を最も得意とするH学園に勝つとおっしゃるのですか？」先生「ハイ。必ず。」

　その塾は我家から約35kmの距離にあり、都会の方からすると、メチャ遠いでしょう。まあ、我家でも負担は大きいのですが、こんな小さな都市のこんなワイワイ塾　（失礼ながら、大変勉強ができそうな子供もいないし、皆ワイワイと騒いでいる。）で、この様な先生に出会えるとは思っておりませんでした。しかしこの塾には国語を教える方がなく、算数だけなのが気がかりでした。（２人とも国語は、てんでダメ！）　何事も自分１人で決める私は、珍しく「オマエどう思う？」　と妻に相談。妻も「ウ〜ン？」　私は子供２人に「オマエらはどうしたい？」　兄�A「ボク、ここの塾に行くで！」　兄�@「ウ〜ン？」

　結果、２人は次の日から体験入学を２ヶ月続け、現在は正式に通うようになりました。２ヶ月って長いでしょ！この塾は、本人が　「本当に勉強を頑張る！」と宣言する迄、親がなんと言おうと入塾させてくれないのです。これも良いシステムだと後日確信しました。

　その後、私は超多忙を極め、子供達の勉強を見てやる事も出来ず、本人たちが伸びているかはさっぱり確認できていません。　しかし、子供達は現在、月曜 体操,火曜 スイミングとよさこいソーランダンス,水曜 福知山ゼミ,木曜 習字,金曜 福知山ゼミ,土曜 体操,日曜 休み。と大変忙しくしています。（都会の子の様だ！　しかし、移動時間がハンパで無い。）・・・で、私は、と言うと、昼間超多忙の上、夜、お客様としっかり飲みに行くので全く時間がなく、この原稿も朝の電車の中で２回分を、お客様に３件メールを打ってから書き上げたのです。（まさに作家並み・・・か。）　

　　　　　　　　　　　　　　　


　　　　　　丹波通信２０３　　　　さびしい食器洗い機

　「お父さんはな、明日から旅行に行くんやで。　せやから良い子にしときや！」　娘「旅行って・・２人がこうして・・（と言って、立てた２本の指をもう一方の指で離して見せ）別れて行くって言う事か〜？」　私「？？？あ〜あ〜それは離婚の事やろ。　お父さんが言うてるのは旅行。」　娘「りょこうって何や〜？」　私「あんたは旅行知らんかったか〜？　ほら、ホテル泊まってオイシイもん食べて、BEERい〜っぱい飲んで〜、宴会して・・・帰りにおみやげ買って帰るやつやん！　解らん？」

　 紙面では私が超多忙で仕事を頑張り、家族を大切にしている様な所だけが見られると思いますが、家族からすると、自分達が起きる前（６時）に父はもうおらず週に何度も朝４時、５時に帰って来る事があり、たまったものでは無い・・・」 のであったのかも知れません。自分の体力を過信する私は夕方までに５〜６人の方と会い、その後は最後にお会いした方と遅くまで酒を飲みます。

　 久々に日曜、休みを取りました。今日は子供３人の体操の発表会があるらしいので取った休みでした。朝９時３０分には家を出るとの事でしたので私も久々の休日と言うのに７時に起き、全員が揃った朝食でした。　「９時半には出るんやろ！　お父さんは休みやし・・・お父さんに一緒に行って欲しいか〜？」　「・・・」　私「？？兄�@、お父さんに行って欲しいか〜？」　兄�@「そう言われてもなあ。」

　 結果、私は「応援に行ったるで〜」　の気勢から「置いて行かれた身」　に様変わりしていました。私は読みかけの三国志をソファーに横たわって読む事にしました。家の中では、先日妻の為に買った食器洗い機のウンウンと唸る音が寂しくリビングに響いていました。　

　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　丹波通信２０４　　　　妻が交通事故

　私は大阪の本町の支社に月曜と木曜出社しています。その両日は会議や事務仕事で１日がアッと言う間に過ぎてしまいます。ある木曜日、朝礼の最中何度も妻の携帯から私の携帯に電話が入っていました。朝礼中、私は気が付かず終了後、妻に電話をしてみました。　「何や？何回も電話してたみたいやなあ。」　妻「アッ、ヒロくん！事故してなあ・・。」　私「事故？今日がエープリールフール言うても朝礼中に何回も電話すんなよ！」

　その日は４月１日。　しかし本当に事故った様です。帰るに帰れないし、私は妻に適切に指示をして再び仕事に戻りました。夕方、妻から電話です。　「体操に行こうと思って、でも遅刻しそうやったんよ。横で兄�Aがなあ、文句ば〜っかり言うて、気が取られててなあ。気が付いたら前の軽トラに追突してんよ〜。」　私「怪我は？」　妻「ちょうど兄�Aが体操服に着替えてたとこやったから、兄�Aは前に吹っ飛んで頭に大きなタンコブ作ってる・・・。後は皆大丈夫や。」

　聞くと、前を走っていた軽トラは全く無傷で運転手の方も大変親切な方で怪我も全く無い・・・、との事です。　「田舎の人やし、ええ人そうで良かったナ。　しかし、ワシは10中8・9、３日以内に、どっか痛い・・・言うてくると思う・・・で、車も修理に出すで。」　妻「イヤ〜、そんな感じ全然無いヮ〜。エエ人やで〜。」　（ちなみに私のマツダデミオは、みごとに廃車でした。）

　 きっちり３日後、被害者の方が会社を休み通院する様だ・・・と、自動車保険の担当者から連絡が入りました。車も修理に出したと・・・。私は数日後、妻を伴い念の為その方の会社に伺いました。すると、休んでいるはずのその被害者の方が会社の駐車場で何やら作業をしていました。ちゃんと作業服で・・・。　私「ああいう事してるとなあ、必ず今度は自分に降りかかるんや。一応、お見舞いだけしてすぐ帰ろう・・・。」　　　　

　　　　　　　　
　

　　　　　　丹波通信２０５　　　母の病気

　大酒のみの私が、こんな事を言うのは可笑しな話ですが、私は病気に関して大変神経質です。今迄は大きな病気をした事が無い私ですが８月に４２歳になる私は、もうすぐ、若くして亡くなった母の歳のなろうかとするのです。

　私の母は私が高校に入学する直前に体調を崩し入院しました。そう言えば、数ヶ月前から背中の痛みと下痢を訴えていました。後で人に聞いた話ですが、母は一人息子の私が高校受験までは・・・と、ずっと我慢していたそうです。診察の結果は胃潰瘍と言う事でしたが、立て続けに２回の手術を受け母の体力は相当弱っている様子でした。ある日、私は母方の親戚数名から呼ばれ神妙な面持ちで言われました。　「祥人さん、お母さんは癌なんよ！」　私「・・・嘘や！」　15歳の私は一瞬耳を疑い言葉を無くしました。しかし、気を取り直して「・・・で、直るん？」　皆は下を向き、伯父「いや、後1ヶ月も、もたんそうや。」

　頭には、沢山沢山の事がグルグルと回るかと思えば真っ白にもなりました。しかし、身内で頼る者が無い事を身に沁みて解っている私は、取り乱す事も出来ません。　「おじさん、おばさん、この事を父ちゃんは知ってるの？」　伯父「いや、これから話そうと思ってる。　お父さんは何処に行ったんや？」　私「言わんとって、絶対言わんとって！　父ちゃんは気の弱い人やから、絶対近所の人やら会社の人に言う。そしたら、母ちゃんの所に明日から急に見舞いに来る人が増えると思う。そうしたら、母ちゃんはどう思う？　変やと思って父ちゃんに絶対聞くヮ。で、気の弱い父ちゃんは又、絶対言ってしまう人や！」
　　（27年も前は、本人に告知する事は、今よりずっとタブーでした。）

　親戚は皆、私の言葉を黙って聞き、又父の性格も心得ているので従ってくれました。私も以後、平静を装い、高校でも担任の先生にだけ本当の事を報告し、授業が終わると必ず母の見舞いに向かう日が続きました。
この時、一番辛かったのは、百恵ちゃんの　「赤い・・・」　シリーズが流行っており、百恵ちゃんのお母さんが胃潰瘍と診断されたのが、実は癌だった・・・。と、言うのが放送翌日、私のクラスでの第一の話題だった事でした。　つづく
　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
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